四 アパートメント住ひの常識

一、捨るもの

(一)洗面器、風呂、便器等の中にマツチ、ツマヨウジ、ヌケ毛、脱脂綿、新聞紙、ボロキレ、果物の種皮等硬質のものをお捨にならぬ事
(二)窓からものをお捨にならぬ事(注:傍点“○”あり)、特に水を御注意下さい
(三)ゴミイレ[ガーベージカン]・カンはこちらから毎日採りにあがりますから台所より出るゴミは水をきつて新聞紙に包み其中においれ下さる事、各階の焼捨炉{インシニレータ]にはやけるものだけお御すて下さい
(四)ガーベージカンは時々熱湯を以て殺菌し内外共清潔にして下さること

二 戸[ドーア]

(五)お就床になるとき、又お住ひをおあけになる時には、いつもお出入口の戸に鍵{ナイトラッチ]をおかけになる事
(六)戸をお静かに閉めて下さる事。特に夜更けた節には御注意を願ひます
(七)金網戸{スクリーンドア]を開けはなしになさらぬ事、『冬は寒さの心配なく、夏は蚊や蠅の煩のない』のも文化アパートメントの特長であります

三 廊下[コリドーア]

(八)アパートメント全体を家庭的にする為廊下[コリドア]には靴ふき[ドーアマット]をお置下さらぬ事
(九)廊下には何も置かないやうにする事、ことに食器、牛乳の空瓶などおく事は乱雑の感じをおこしますから両側の階段の方にお出し下さい

四 窓[ウインドウ]

(一〇)お住ひをおあけになるときは、いつも窓をお閉めになる事
(一一)窓かけ(注:傍点アリ)のない窓その他外から見える所に、おはち、洗濯ものなどをおだしにならぬ事
(一二)窓の硝子は少なくも一ヶ月に一度位づつ御掃除下さる事

五 ブラインド

(一三)巻上[ブラインド]カーテンは内外の体裁に関係しますから、二連窓のものは両方そろへて同じところまでゆがまないやうにお下げになる事
(一四)普通の場合ブラインドは欄間窓[トランシム]の下ワクの所までか、或は全部まき上げてをく事
(一五)点火後はお差支のない限り窓の下ワクまで全部お引き下げになる事

六 バス・ルーム

(一六)バス・ルーム殊に便器をいつも清潔にして下さる事、在来の住宅で『普通最もきたない(注:傍点アリ)所が最もきれい(注:傍点アリ)』であるのも文化アパートメントの特長であります
(一七)浴槽[バスタブ]の中にバケツ其他金属製のものを置かぬ事、浴槽の白エナメルにキヅがつきますと日本では新調も修繕も出来ませんので特に御注意願ひます
(一八)バス・ルーム附アパートメント住ひの方のお召使の方は共用のバス・ルームを御使用にならぬ事

七 来  客

(一九)万一の御迷惑を慮りますから異性のみのお来客は社交室で御接待下さる事、若しそう出来ない御事情がお有りの場合はその旨予め事務所に御申出でになり御部屋の戸を開けて応対する常識をお守り下さる事
(二〇)御訪問客はなるべく一度事務所に御申いでを願ひ、電話で御都合を伺つてから御通しの出来るやう御注意下さること

八 電  話

(二一)当アパートメントの電話交換は第一種(単に外線を内線に又は内線を外線に接続するのみ)により許可されてゐますので会話のお取次は出来ないことになって居ります、特別の場合を除き、成るべく交換を簡単にして皆様に御満足を与へるやう御協力願ひます

九 其  他

(二二)本会の承認なしに壁、窓ワク、柱、床等に釘やフツクをお打ちつけにならぬ事
(二三)楽器をやかましく鳴したり、大声を出したり、又他人の迷惑になる時間(朝七時前夜十時後)の奏楽は御遠慮下さる事
(二四)社交室を使用される御来客等の折お室においでにならない場合は食堂、社交室だけはお探しいたしますが其他の場所においでの節は予め事務所に御申いでない限り御探しする事は致しません


△ 文化アパートメントの生活 目次へ戻る

戻る東京文化短期大学資料室へ戻る

△ 東京文化学園資料室へ戻る

戻る 東京文化学園ホームページへ戻る


Copyright (C) 1998 TOKYO BUNKA GAKUEN