「日本人の心」継承へ大学連携

東京女子大など「新渡戸基金維持会」に入会

2001.2.3 産経新聞夕刊(社会面10ページ)掲載

 「武士道」の著書などで知られる新渡戸稲造と関係が深い東京女子大など複数の大学が連携し、道徳再興を盛り上げようという試みが進んでいる。新渡戸が初代学長を努めた東京女子大と学校法人・東京文化学園は、 財団法人・新渡戸基金(盛岡市)が4月に立ち上げる関連団体「新渡戸基金維持会」に、法人会員として入会することを決めた。
 新渡戸基金は昨年10月、青少年に「武士道」の理念を語り継ぐための宿泊型学習施設「新渡戸セミナーハウス」を岩手県東和町に開設したが、両校はこの運営などを支援。また、維持会が掲げる「国際化時代にこそ、いかされなければならない『日本人の心』を継承する」との理念に沿い、両校の学生が参加する「武士道」の英文朗読会や、専門家との意見交換セミナーなども検討中という。
 東京女子大は大正7年の開校で、新渡戸は東大教授から初代学長に就任。東京文化学園は昭和3年に女子経済専門学校として開校し、新渡戸は昭和8年まで初代校長を務めた。東京文化学園は現在、幼稚園から短大までの系列校を経営している。
 「新渡戸の業績は、働きの割に日本で十分に注目されていない。新渡戸基金の活動を支援することで日本人が持つ精神の深みをもう一度、探りたい」と東京女子大の船本弘毅学長。
 新渡戸基金は両校のほか、拓殖大、星薬科大、中高一貫の学校法人・普連土学園など、新渡戸ゆかりの学校に維持会への入会を要請するという。東京文化学園の森本晴生理事長も「より大きなグループで理念の共有ができれば素晴らしい。他校との連携も含め積極的に活動したい」と期待する。
 新渡戸基金の内川永一朗事務局長は今回のネットワークづくりを通じて、「ほころびが目立つ道徳の再生を試みたい」と話している。

(犬塚陽介)


戻る資料室/新渡戸稲造展示室へ戻る

戻る東京文化短期大学資料室へ戻る

戻る 東京文化学園ホームページへ戻る


Copyright (C) 2001 TOKYO BUNKA GAKUEN