-4- 第342号  TokyuBunka Times  平成14年3月12日

短期大学

卒業生の皆さんへ

学長 森本晴生

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 昨年来、外国のアフガニスタンやアメリカでの事件が私たちの生活に影響を及ぼし、海外旅行者が大幅に減りました。ソルトレイクの冬季オリンピックは採点の疑惑や薬物使用が話題となっています。国内では外務省の不祥事や外務大臣の更迭、牛海綿状脳症(BSE)対策を悪用したによる牛肉の不正表示など、各方面で問題が多く出てきています。
 厳しい社会環境にありますが、新しく社会に出ていく皆さんは正しい認識と判断をして進んでいただきたいと願っています。これら社会の問題は、心の持ち方に原因があるといえます。寛い心を持って、それぞれの理想に向かって進んでください。
 本学園の創立者・森本厚吉先生が建学の柱とされた「Veritas Vos Liberabit.」(新約聖書ヨハネ8・31、新共同訳では「真理はあなたたちを自由にする。」)に関して、先生は教育の目的は、物知りや物持ちになる準備をするのではなく、誠実に真理を探究することによって、純真の人となる事である」と述べられました。
 初めの話題に関連して言えば、ある国は悪い国であるから行かない、あるいは攻めるとか、外務省の言うことは信じないとか、牛肉はいっさい食べないとか、短絡的な結論を出すのではありません。その内容は何か、どの程度の問題なのか、なぜそのようになったのか、今後はどうなるのか、私たちに対する影響はどうかなどを判断し、行動することが求められているのです。
 初代校長の新渡戸稲造先生も、国際間での価値観の違う人たちの間の紛争解決に努力されました。国際連盟の事務次長としてだけではなく、日米間の紛争を避けるための努力を続けられるなかでカナダで亡くなりました。
 卒業後も本学の3H精神とともに成長続けていくことを期待しています。そして、いろいろな機会に母校を訪ねて、建学の精神がどのように実現されたかを示してください。


生活学科の発進

 いよいよ四月から本学の新たな時代がはじまります。家政科から「生活学科」ヘ、コース制から二つの専攻(食物栄養専攻・生活文化専攻)へと変わります。そして、生涯学習の理念をふまえた公開講座・講習会も増えて、より社会に開かれた大学をめざします。
 ここ数年で、短大は受験生減少の影響を強く受け、大きな変革の時を迎えました。今や、高校生(受験生)が目に留めてくれて、選んでくれるだけの魅力ある短大でなければならないのです。それだけに一大決意早急な改革を迫られました。幸い社会人入学者の増加という傾向も出てきていますが、今回を第一弾とし、次には「福祉介護」をキーワードにした構想が近々公表される運びとなっています。
(教務課)

学友会リーダストレーニングキャンプ

お揃いのウィンドブレーカーで  「学生・学校を元気にしよう」を目標に一年間活動して来た旧執行部と新年度を担う新執行部との引継であるリーダーストレーニングキャンプは、森本学長と三吉学園祭実行委員長を迎え、二月十、十一日と代々木倶楽部で開催された。
 総合進行役の二年生議長を中心に、学長からは「リーダーについて」、学友会顧問の原先生より「学友会活動とクラブ活性化の話」と進み、続いては学園祭については、二年生学園祭実行委員長へ司会を移して、今年度の反省を基に三吉先生と学友会メンバーで活発な意見交換がなされた。クラブの活性化についても問題意識を持って様々な提案が出された。旧執行部から成功の秘訣と改善案を引き継ぎ、新執行部は自分たちの活動計画を胸に、いよいよ新学年度のスタートをきった。


家政科 家政科

学生の輝き


調理学研究室 原たつえ

 学友会の顧問になって6年が経った。年ごとのカラーはあるが執行部の学生達の頑張りにはいつも感心させられる。今年度の執行部の活動は特に印象に残った。彼女達はそれぞれ自分の意見を持ち、それを主張し合い、合意点を見つけて実践していった。自分達の発言に責任を持とうとする姿勢で学友会の活動に臨み、無欲に楽しんでやっていた。企画段階では不安を抱えながらもイベントが無事終わるたびに達成感、充実感を得、活動を重ねるごとにいきいきとしていったように感じる。学生達は人のために動きながら結果として自分自身を磨く機会となっていたのではないか。
 私は学生達の話をよく聞き、学生のアイデアを形にすることに協力した。若い学生の発想は豊かである。そんな学生を頼もしく思い、私はいつも学生と同じ立場で共に企画を煮詰めていった。
 学生の能力を最大限に引き出すには、学生の人格を尊重し、信頼することだと思う。精神が自由に解き放たれてこそ、潜在能力が開花していくのではないか。
 学生の本業はもちろん学ぶことであり、多くの知識を得る。しかし、学生生活はそれだけではないはずだ。日頃の授業、実験実習、卒研ゼミの場で教員との出会いに喜びを感じ、感銘を受け、信頼関係が生まれる。さらに課外活動などで友人と出会い、ふれ合い、充実感を味わうということも大切なのではないか。学生の一人一人がこの短大のどこかで自分が受け入れられ、自信をつけ、生涯の記憶に残る感動体験を持って卒業していってくれたらと願う。
 学友会で活動した学生達はその意味でも大切な経験をしてくれたのではないかと思う。損得に関係なく時間をかけ、手間をかけ、無欲に人のために行動することに価値を見い出してくれた。社会に貢献することは最終的には自分を見つめ直すことなのだと思う。事実学生達は頼もしくなり、行動力が増し、輝いていった。その学生達を見ながら「学校の主役は学生である」という当たり前ことをあらためて思い起した。
 卒業後、学生達がさらに輝きを増して母校を訪ねてくれ、卒業生として学園を盛り立ててくれることを願う。


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