-7- 第353号  TokyuBunka Times  平成17年12月12日

ルネッサンス80プロジェクト
小学校

〜農業体験学習より〜

稲刈り体験・・・心の糧に

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5年担任 有馬 真帆子

 十月十五日、素晴らしい秋晴れの中、5年生40人は農業体験学習にために、自分達で田植えをした稲の収穫に府中市中河原の田んぼへ稲刈りに行きました。その日は全校遠足で立川昭和記念公園まで行き、午前中たっぷり遊んだ後の稲刈りでした。田んぼには、持ち主であり指導して下さる沢井さんの笑顔と黄金に輝く稲が待っていてくれ、その温かいもてなしと成長した稲を見た瞬間、遠足の疲れも吹っ飛び子ども達の目もきらきらと輝きました。
 沢井さんには、6月の田植え、7月の稲の観察とこの農業体験学習のために色々なことを教えて頂いています。米作りに対する熱い思いを穏やかな表情で語る沢井さんの話には、子ども達は毎回引き込まれていきます。
  今回は稲刈りで、まずは刈るための鎌の使い方から、刈り方、そして刈った稲を束にする方法を懇切丁寧に教えていただきました。刃物である鎌の使い方は慎重に行わなければなりません。ひとつ間違えれば大怪我です。沢井さんから、文化の子ども達のために一生懸命研いで下さった光る刃先で怪我をしないように使いこなす刈り方の説明を、子ども達は真剣に聞いていました。
 また、稲刈りはどの田んぼも機械で行うということで、小型のトラクターを使っての機械刈りも体験してきました。機械を使うことで、手で刈る大変さが更にわかったことでしょう。手作業は想像していた通り大変でしたが、子ども達は二人一組になり、ひとりが鎌で稲を刈り、それを仲間が束にしていきひもで結ぶ作業をそれはそれは生き生きと楽しんで活動していました。
 そのときの感想が、子どもたちの農業体験新聞に書かれています。
「ぼくは、生まれて初めて稲刈りができました。やはり、刈るときの説明があったときと同じで、稲を刈ったら手や足がかゆくなりました。もうこんなことは、一生に一度や二度しかないので忘れないようにしたいと思います。」
「刈るのに夢中で、友達に『○○ちゃんって、本当は農家で働いているの?』と言われたくらいです。稲刈りをやったら、沢井さんの家の子になりたいぐらいやみつきになります。」
「稲刈りで刈った稲を使って作る調理実習が楽しみです。今回見たとき、稲の穂が光って少しきれいに思いました。」
 農業体験学習を通して、都会に住む子ども達が、自然にふれ、稲を育て収穫する苦労とその喜びから、生命の尊さや思いやり育つのが実感できました。沢井さんが、「この都会に田んぼを作る意義があるのです。田んぼを残すことは、環境を守ることにつながっていきます。だからこそ、米作りがどんなに大変な作業でも田んぼをなくしてはいけないのです。」という話には、子ども達の心の糧となりました。



こども こども

ぬくもりってなあに


小学校長・幼稚園長 福田景三郎



 秋の日脚が一日一日と短くなっていきます。中庭の端まできていたきらめきが二階の図書室にやっと届いている様子を見ていてふと、ある年の歩く会のこと を思い出しました。
 森林公園の中を一年生、二年生が学年の枠をとりはずした縦割り班で歩きます。一年生の手をしっかりとにぎっている二年生。雑木林の中の細い一本道では先に歩いてねとゆずります。広い道へ出ると安全な道路の左側へと導いて歩きます。今日は少し肌寒いくらいですが、楽しみにしていた歩く会。どの子もうれしいーで体いっぱいパンパン。
 だいぶ歩いた頃、楽しいお昼ごはんになりました。キティちゃんや新幹線のピクニックシートがあちこちに広がります。
「先生、いっしょに食べようよー。」
「うん。うん。」
 二年生のまいちゃんが一年生のななえちゃんの方を向いて、
「場所、かえっこしよう。」
二人は、ずるずるシートを引きずって場所をかわります。わかりました。一年生のシートの下には岩がごつごつ出ていたのです。きっとななえちゃんは、すわりにくそうにしていたのでしょう。うれしかったなあ。文化のぬくもり、いつまでも。


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