新渡戸稲造 その(5)
意外に気付かない自分自身の埋蔵資源
学務理事 升野 龍男
「職業観の欠如」と「無気力」。
これは今の学生に共通にみられる傾向である。
一方、社会が求めているのは「チャレンジ精神」「主体性」「コミュニケーション力」。この差を埋めるのが、若人の自助努力であり、発育の課題でもある。
だが人間の可能性は限りなくあるのに、当事者自身それに気付かぬ場合が多い。これは当学園にも指摘できる。我々の埋蔵資源も中にいる人には見えにくいようだ。その代表例が「新渡戸森本研究所」と「3Hボランティアセンター」。老舗は革新の連続によって保たれる。社会との新たな関係価値を作るには、社会ニーズと、その接点となるモノを概念化して積極果敢に情報発信してゆけばよい。
「新渡戸森本研究所」は先般実施された短大基準協会の第三者評価で、また「3Hボランティアセンター」も文部科学省の特別補助金申請で、非常に高い評価を受けた。
自己プロデュース。プロ=前に、デュース=引き出す。自分の可能性を引き出し、前に進む行為である。「神は用意周到であるよりも果断であることを望む。なぜなら運命の神は女神だから(マキャベリ著君主論)」。新渡戸博士も著作「一日一言」で、こう述べている。「運は天よりも降れば地よりも湧く。しかし待つ者には来たらで、待たぬ者に来る。地は耕す者のために豊か、寝て秋を待つ者のために穀を与えず」。チャンスは誰の前にも、大河のようにとうとうと流れている。それを掴むか否かは問題意識の鋭さである。
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