こども
「笑顔」
小学校長・幼稚園長 福田景三郎
校長室には、約5000枚の絵があります。印刷ミスの裏紙に子どもたちがかいてくれた名作ばかりです。どの一枚を見ても、その時、その子の目をくりくり動かしていた様子、くちびるをちょこっとなめた仕草がはっきりと目に浮かびます。
全部は飾りきれないので、ご覧になっていただけるのは200枚ぐらいです。ほら、このロッカーの扉の左右全部、上から下まで、すてきでしょう。左の本棚には、卒業生が遊びに来てくれてかいたもの、右の本棚には、一・二年生のしおりがずらっと並んでいます。
多いときは、25人ぐらい遊んでいます。僕が幼稚園に行って戻って来ると、校長室に入れないんです。僕の椅子にも座っていますよ。僕は、覗き込みながら廊下で授業のチャイムが鳴るのを待っているんです。楽しいですよ。いつも。
部屋に入って来るときも笑顔、絵をかいて入るときも笑顔、椅子をゴーカートにしているときも笑顔、お母様のお年をそっと教えてくれるときも笑顔。人間には笑顔ってすてきなものがあると伝えてくれています。大笑い、はにかみ、よく見ていないと見過ごしてしまうほんのかすかなほほえみ、顔はそのままだけど身体全体がかもしだすあったかいもの、それも笑顔でしょう。表し方は色々だけど、みんな自分の持っているいいものを素直に出して入るなあ。すてきだなあ。こんなに素直になれたら、こんなに笑えるんだ。うらやましいと思います。
笑顔、えがお、笑顔、神様は本当にたくさんの宝物を子どもたちに下さいました。その中でも、自然ににっこりできる素直な笑顔って最高のプレゼントですね。
僕は自分を振り返って考えます。どうして、いつから自分の中のよいものをちゃんと出せなくなっちゃったんだろう。出しにくくなっちゃったんだろう。考えすぎ、走りすぎ、構えすぎかなあ。「そのまんまが一番、余計なことは考えずに全てに感謝して素直に生きればだいじょうぶ。」今日もたくさんの笑顔が伝えてくれています。しっかり受け止めないといけません。たくさん、たくさん大事なこと、もしかすると人間にとって一番大事なことを伝えてくれている子どもたち、あなたたちこそ先生だなと思います。僕が忙しそうなふりをしていても、小走りでバタバタしていても今まで通り朝から夕方まで校長室に遊びに来て下さい。
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