-4- 第340号  TokyuBunka Times  平成13年7月2日

短期大学

家政科から生活学科へ学科名変更

--2002年度実施に向けて--

教務部長 岩切 信一郎

 東京文化短期大学は、今、大きく変わろうとしいます。新構想・改革の第一歩として来年度、従来の家政料から《生活学科》へと学科名を変更し、《食物栄養専攻》、《生活文化専攻》の二つの専攻とする構想で、目下、文部科学省に申請中です。これは、本学の教育理念である3H精神に基づく「自律的な女性」、「教養ある職業人」の育成という教育理念の新たなる展開として、めまぐるしく変化する現代の社会や日本人の生活実態に対応した教育をめざすものであります。
 五十年間にわたり家政科の看板を掲げて来ましたが、実情は衣食住のうち、「食」の教育が中心になっていました。今回、より具体的な教育の明示として、一九九五年に教育の目的を、「健康で心豊かな生活を自ら創造し営むための基礎を築き、さらに実践性のある知識と技術の修得をめざす」としたことを踏まえて、《生活学科》として具体化することになりました。
 《食物栄養専攻》は職業人としての「栄養士」育成を明確化し、食生活や健康・栄養に関する知識と実務能力を主に学ぶ専攻とし、《生活文化専攻》では、「真の国民生活向上のための文化普及」をめざした本学創立者森本厚吉先生の偉業を継承し、食文化をはじめ、「文化」の視点から生活を学ぶ専攻で、「フードスペシャリスト」、「余暇生活相談員」の資格者育成をめざすものであります。
 従いまして、これに伴う新カリキュラムの整備も行いました。二・三年をかけて目標とするカリキュラムに徐々に達成していく計画でおります。また、

上半期の教育活動あらまし

 四月には、例年にも増して意欲的な新入生を迎えての、オリエンテーション・キャンプも好評の内に終了しました。前期授業が始まって先生方も一層の熱意をもって取り組んでいます。例えば、化学の補習授業、「腸内・細菌の生理的効果」をテーマにした勉強会、栄養指導として「健康づくりのための運動」の体験学習、生化学実験での骨量測定、健康調査、血液検査の実施、余暇ボランティア説明会等々、これらは本学の掲げる「少人数制」ならではの授業補助型の教育活動です。行事委員会では刃物(包丁研ぎ)講習会、押し花講習会の開催をはじめ春期公開特別講演会が開催されました。最も盛り上がったのが教職員・学生が一丸となって取り組んだスポーツ大会の開催でした。

好調な就職状況・・・

栄養士就職率が過去三年間

100パーセント維持

 四月から就職課に変わり、新たな展開として就職指導室が置かれました。不況の影響を受けてなかなか就職率が上がらないといった状況が続きましたが、平成十二年就職状況総括では就職率が上がってきています。本学が最も誇るべきは、過去三年間にわたり「栄養士」希望者に対する就職率は100パーセントであり、昨年度は一人で複数の内定を頂けた学生も居ました。二年計画の就職プログラム、そして新たに保育園といった従来専門学校が占有していた領域を開拓し、「食の東京文化」を強く訴えたことが功を奏したといえるでしょう。

家政科 家政科

栄養士教育における健康教育


教授 梅村 詩子

 短大食物栄養コースでは栄養士の資格を得るためには栄養、食品の基礎知識、身体、調理や集団給食、栄養指導等を大きな柱としていろいろな専門科目を学ばなければならない。その中で実験、実習は学生の皆さんが楽しく取り組める時間でもある。担当する生化学実験や解剖生理学実験では、各自の身体を観察や実測、検査することにより理解することにしている。健康の目標となる血液検査、生理機能検査、骨密度測定等も実施しているが、血液検査は検査センターにも検査を依頼し、正確なデーターを得ることにしている。結果は各自に返却し、異常値や高値を示した人は各自努力できるような健康教育を実施し、後期に再測定をすることにり異常値等の改善が見られるかを推察することとしている。特に骨密度は最も骨量が最大を示すのは20代であるが、本学の例年の調査でも、17〜20%の学生は骨量低値を示し改善が講習会や自分の可能な運動を進めている。運動の習慣化と共にCaの摂取等を勧めるが、各自の身体状況を知ることにより更に改善への努力が認められ、検査することが健康教育への啓蒙につながっている。
 血液検査では、食生活の欧米化により血清中コレステロール値が女子学生としてはやや高めである200mg/dlを越える学生が増加し、例年約20%見られる(本年度は多く35%)。また魚介類の摂取が少なく血液中の脂肪酸組成では、n3系多価不飽和脂肪酸も成人女性に比べると低値を示している。このように、自分自身を観察、検査することにより、自分自身のことはもちろん各人の身体状況に応じた栄養教育、栄養指導の心を育てるこに役立つと思う。異常値を示したときの改善策や疾病を抱える人達を思いやる心が育つと思う。本学の3H精神の実践のひとつである。
 --知識、心、実践において。--


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