-5- 第340号  TokyuBunka Times  平成13年7月2日

医学技術専門学校

オーストラリア研修に参加して

(シドニー・ケアンズ8日間)

『前編』

2年 清水 絢子

 今年の三月末、入学時から楽しみにしていたオーストラリア研修旅行で、まずシドニーを最初に訪れた。日本のむしむしした暑さとは異なり、暑いながらも空気がからっとしていた。街は東京のように高い建物が多く、海外に来たという気分ではなかった。しかし少し街から離れると、景色ががらっと変わり、私の想像していたオーストラリアのイメージと重なった。空は青く澄み渡り、深緑のように輝いた緑が私達を迎えてくれたような気がした。建ち並ぶ家々はどれも大きく、道は広々としていた。そして一番感動したのは、街を歩いていてもタバコを吸っている人がいなかったという事だ。街にはゴミ一つ見られず、これから始まる旅行の期待で心が弾んだ。
 二日目にこのオーストラリア研修の主目的である病院見学をした。そこで私達は医療現場で働く人達の環境に驚きを覚えた。日本の検査室では、少し狭い部屋に大型の分析器が入っていて、生真面目な日本人の雰囲気があふれていたが、オーストラリアの病院は、検査室のみならず敷地全体が広くきれいで、解放感かあふれていた。検査室の机の上には家族の写真が貼ってあり、広い窓を通してきれいな景色を見ながら仕事をするこの病院の人達は、明るく、楽しそうな雰囲気だった。この様な明るい雰囲気の中で働いてみたいと思った。
 この日の夜、ホテルで行われた交流会は医学博士号を取ったばかりの大学院生キャロラインや、大学で日本語を学び、日本語に堪能な学生達を招いて行われた。オーストラリアでは、日本語が通じる場所が多く、英語を使う機会が少なかった私達だが、キャロラインとジェスチャー混じりの英語で話すことが出来、海外に来たという実感がわいた。学生達は様々な国から来ていたが皆、日本の文化に興味を持っていた。三日目はブルーマウンテンでバーベキューをした。ブルーマウンテンは、その名の通り青い山で心が洗われるような美しい自然が広がっていた。そこでは、ギネスブックに載っているとても急な斜面を下がるトロッコに乗った。まるでスピードのないジェットコースターにでも乗ったような感じで「落ちるよー!」と思わず叫んでしまった。また、薪拾いから始まったバーベキューはダイナミックだった。バターが飛び交う中、自分たちで購入したソーセージと野菜を焼き、みんな我を忘れて頬張った。そこには野生のカンガルーがたくさん居て驚いた。自然の中で食べたバーベキューの味は最高だった。
 この旅行を通じて仲間との絆も益々深くなったと思う。参加することが出来て本当に良かったと思っている。(後編に続く)

学生交換会にて
学生交換会にて
「左はしがキャロライン、向かって右から2人目が筆者」



「第五十回日本医学検査学会に参加して」

2年 櫻井 雅子

 平成十三年五月二十四日、私達は、東京国際フォーラムで開かれたこの「記念式典」、「記念講演」及び同じ会場で開催されていた「機器展示会」を見学しました。
 記念式典では、天皇陛下の「お言葉」をはじめ、様々な方の祝辞の中で共通していたのは、「正確性」を高めることと、「倫理性」を持つことでした。私は以上の言葉を拝聴して、最近、相次いで報告されている医療事故の数々より得た教訓を生かし、また、いつも患者様の立場に立って検査を行う検査技師になりたいと思いました。
 展示会では、私達が日々行っている生化学検査や病理実習などが短時間で正確、大量にこなせる各種の自動分析装置や標本包埋、封入装置などを見て、自分の将来の就職状況に多少の不安を感じましたが、それぞれの機械を説明して下さった人達のほとんどが、「検査に束縛されなくなった時間を利用して、新しい検査方法を学んだり、開発することが必要なのです。」と言って下さり、検査技師になった後も、様々な知識の習得及び改良が必要であることを実感し、また、どんなに機械化されても、最終的に判断するのは「人」であることを学びました。
 記念講演の「医の現在」で、自治医大学長の高久史麿先生が、遺伝子診断のことを学生にも本当に分かりやすく話して下さいました。遺伝子診断は、生まれる前の新生児の先天的異常やハンチントン病が発病前に診断が可能になるなど、本人の意思のみでは避けられない異常を知ることが出来、差別の一因になりうることもありますが、反面、適伝子の発現の違いを調べることにより、急性白血病が骨髄性由来によるものなのかリンパ性由来によるものかの区別も従来では一ケ月かかったものも一日で診断可能になることや、個人に適合した薬を処方することが可能になることを考えると、私は遺伝子診断が早く実用化されれば良いなと思いました。また、技術の方が倫理面より先に成立してしまったので、個人情報の管理方法など様々な問穎点が生じていきますが、全ての人が納得出来る答えが出ると良いな、と思っています。
 この学会を見学することで、様々なことを学べたので良かったと思います。


次へ次頁へ
戻るタイムス目次へ戻る

戻る東京文化短期大学資料室へ戻る

戻る 東京文化学園ホームページへ戻る

Copyright (C) 2001 TOKYO BUNKA GAKUEN